歯並びは遺伝する?歯並びが崩れる原因や予防法を解説
2025/04/26

こんにちは、綾瀬の歯医者、新井歯科医院です。
皆さんは、自分の歯並びがどのように決まっているかについて考えたことはありますか?
歯並びは、遺伝や生活習慣、食生活といった複数の要因によって変化します。
歯並びの形成に関わる要素やそれによる影響、整った歯並びを維持するための方法を解説します。
歯並びに影響を与える要素
遺伝

親子で似たような歯並びをしている場合、「歯並びが遺伝している」と感じるのは不思議ではありません。
しかし、歯並びは直接的に遺伝するものではありません。
遺伝の影響を受けるのは、主にあごの骨の形や大きさ、歯の質や大きさであり、これらの要素が組み合わさることにより、歯並びが決まります。
例えば、両親のあごの形や歯の大きさ・硬さを遺伝的に受け継いでいる場合、結果的に親子で似たような歯並びになることがあります。
また、日常の生活習慣や食習慣も歯並びに大きな影響を与える要素であり、やわらかい食べ物ばかりを食べることであごの発達が不十分になったり、頬杖や悪い姿勢が癖になることで骨格が歪んでしまったりすることもあります。
特に食習慣に関しては親子で同じような習慣を持っている場合が多く、また口呼吸や頬杖などの癖を親が持っている場合、子どもがそれを見て無意識にまねしてしまうことも少なくありません。
その結果、似たような歯並び・かみ合わせのトラブルが生じやすくなることも、「歯並びは遺伝する」と考えられやすい原因となっています。
口呼吸

口呼吸は歯並びに悪影響を及ぼす大きな要素の一つです。
口が開いている状態が長く続くと、口周りの筋肉が衰えやすくなり、筋力のバランスが崩れてしまいます。
また、安静時の舌の正しい位置は上あごの裏側ですが、口呼吸の場合には舌が下がって「低位舌」と呼ばれる状態になりやすく、これも歯並び悪化の原因となります。
口呼吸は歯並びやかみ合わせの悪化だけでなく、口腔内を乾燥させることで虫歯や歯周病、口臭のリスクも高めます。
口呼吸の癖がある方は、意識して鼻呼吸を心がけることが重要です。
指しゃぶりや頬杖などの癖

指しゃぶりや爪をかむ、舌で歯を押す、唇をかむといった口周りの癖は、歯に物理的な圧力を与えることで歯並びを悪くしてしまいます。
特に、あごが成長しつつある幼少期にこうした癖があると、あごの発達が不十分になり、結果として歯並びやかみ合わせ悪化のリスクが高くなります。
成人になってもこれらの癖が残っている場合は、すぐにでも意識して改善することが大切です。
また、頬杖や姿勢の悪さ、片側に負担がかかりやすい動作を続けていると、身体の重心が狂い、歪みを引き起こします。
頬杖や足を組む習慣をやめ、姿勢を正すことを意識しましょう。
食習慣

やわらかい食べ物ばかりを摂取していると、口周りの筋肉が十分に使われず、あごの成長が妨げられることがあります。
その結果、歯が正しい位置に並ぶためのスペースが不足することも、歯並びが乱れる原因です。
また、片側だけでかむ癖がある場合にも、左右の筋肉がバランスよく使われないことで歯並びやかみ合わせが崩れる原因になります。
歯並びが悪いことで起こるリスク
虫歯・歯周病のリスク増加

歯並びが悪いと、口腔内の細かい箇所まできれいに歯磨きをすることが難しくなるため歯垢が残りやすくなり、虫歯や歯周病の発症リスクが高くなります。
歯並びやかみ合わせが悪いことで、一部の歯に汚れがたまりやすくなったり、食べ物が挟まりやすい箇所ができたりすることも、虫歯や歯周病のリスクを高める要因です。
滑舌が悪くなるリスク
前歯にすき間があったり、かみ合わせが悪かったりすると、歯や舌、唇を正しくスムーズに動かすことができなくなり、滑舌が悪くなるリスクがあります。また、出っ歯や受け口、開咬、叢生などにより、空気が外に漏れだしやすくなることも、滑舌が悪くなる要因です。
コンプレックスになるリスク
歯並びの悪さは、見た目や滑舌の問題にもつながるため、心理的な負担となることもあります。
「歯並びがガタガタしている」「周りの人の歯並びと比べて自分の歯並びはよくない」「滑舌が悪い」という意識から、口を開けて笑うことや自ら率先して会話をすることを控えてしまうことも少なくありません。
このようなコンプレックスが、社会生活を送るうえでのハードルとなることもあります。
歯並び悪化を予防する方法
悪習慣の改善

まずは、日常で無意識に行ってしまっている悪習慣を改めることが必要です。
口呼吸や指しゃぶり、爪かみ、頬杖、姿勢の悪さなどは歯並びやあごの発達に悪影響を及ぼします。
また、口を閉じている際の舌を置く位置も重要です。
こういった悪習慣を改善することで、歯並びの悪化や矯正治療後の後戻りを防ぎやすくなります。
定期的な歯科検診の受診

歯科検診を定期的に受けることも重要です。
歯科医師に診てもらうことで、早期に問題を発見し、その時点での必要な対策を取ることができます。
特に成長期のお子さんの場合には、定期的な検診をすることで歯並びはもちろん、虫歯や悪癖などの早期発見に努めるようにしましょう。
日々の丁寧なセルフケア

毎日のブラッシングやフロスの使用などのセルフケアも、歯並びを保つためには欠かせません。
虫歯や歯周病により歯を失ったり歯が動揺したりするようになると、周りの歯が移動してくることで全体的な歯並びが崩れてしまうリスクがあります。
歯ブラシが届きにくい部分には特に注意を払い、丁寧に時間をかけて磨くようにしましょう。
口周りの筋力トレーニング

歯科医院では、口周りの筋力バランスを整える方法として、MFT(口腔筋機能療法)というトレーニングが用いられます。
舌の位置を正しく保つためのトレーニングや、筋力を鍛える運動を取り入れることで、口腔機能が改善され、歯並びの悪化を予防しやすくなります。
まとめ
歯並びは、遺伝や生活習慣などさまざまな原因で悪化します。
悪化を食い止め、きれいな歯並びを維持するためには、悪化の原因となる悪癖や悪習慣を改善し、虫歯や歯周病による歯の喪失や動揺を防ぐことが大切です。
日々のデンタルケア習慣と定期的な歯科検診により、歯の美しさを保っていきましょう。