虫歯が原因で発熱?虫歯による全身への影響を解説
2025/05/20

こんにちは、綾瀬の歯医者、新井歯科医院です。
虫歯の症状と聞くと、ズキズキとした歯の痛みが真っ先に思い浮かぶかと思います。
しかし、時には虫歯が、発熱をはじめとした全身症状の原因にもなることがあるのをご存じでしょうか。
虫歯によって発熱が起こる原因や、そのほかの全身への影響を解説します。
虫歯で発熱が起こる原因
根尖性歯周炎

根尖性歯周炎は、虫歯が悪化し、歯の根の先端にまで炎症が広がっている状態です。
虫歯は細菌感染症の一種であり、放置して重症化すれば、周囲の組織にまで感染が広がります。
このように細菌感染が広がった結果、身体が細菌感染に対抗しようと免疫反応を働かせることで、発熱する可能性があります。
副鼻腔炎

虫歯が原因で発熱した場合、副鼻腔炎を患っている可能性もあります。
副鼻腔とは、鼻腔を取り囲むように存在する、おでこや頬部分の骨へとつながる空洞のことです。
上顎の奥歯の上には上顎洞と呼ばれる副鼻腔があり、奥歯の虫歯が悪化して上顎洞にまで感染が広がると、上顎洞炎を引き起こします。
この場合、発熱や歯痛、頭痛、鼻づまりといった症状が現れます。発熱は、炎症を起こす細菌に対抗するために、体が発熱反応を起こすことがその原因です。
また、もし上顎洞炎を発症している場合、すでに歯の神経が死滅するほど虫歯が進行している可能性があります。
顎関節症

虫歯によって発熱している場合、顎関節症を発症している可能性も考えられます。
顎関節症とは、口を開く際の痛みや、あごを動かすことによる異音といった症状が現れる、顎関節やその周囲の筋肉に異常をきたす病気の総称です。
口内に虫歯ができると、その痛みを避けようとして無意識に虫歯でない側の歯で食べ物をかむ癖がつき、顎関節症の発症につながることがあります。
その結果、筋肉の緊張による頭痛、発熱が起こる可能性があります。
脳静脈血栓症
脳静脈血栓症とは、脳の静脈に血栓と呼ばれる血の塊が詰まる病気です。
虫歯菌が歯の中の神経を超えて血管に入り込むと、脳の静脈に血栓ができて血流が悪くなり、頭痛や発熱、嘔吐、けいれん、さらには運動障害や意識障害を引き起こします。
脳静脈血栓症は最悪のケースでは命にかかわる恐れのある病気です。
虫歯が原因となることはあまりありませんが、起こった場合には早急な対処が必要です。
智歯周囲炎

親知らずの炎症が、発熱につながる恐れもあります。
親知らずが原因となる炎症は智歯周囲炎と呼ばれ、親知らず周辺の磨き残しが原因で発症します。
歯ぐきの腫れや膿といった症状のほか、症状を放置していると腫れが次第に広がり、顔の腫れや発熱、全身の倦怠感にもつながります。
虫歯が引き起こすそのほかの体調不良
頭痛
虫歯が神経にまで達すると、頭痛を引き起こすことがあります。歯や歯ぐきにまで炎症が広がり、それが顔の筋肉や神経に影響を与えるためです。
応急処置として鎮痛剤で一時的に痛みを和らげることは可能ですが、頭痛の原因が虫歯であるため、根本的な問題の解決にはつながりません。
この場合は、根管治療によって虫歯になった神経を取り除く必要があります。
肩こり
虫歯があると、痛みを避けるため意識的にも無意識的にも片側のあごだけで物をかむことが増えます。
これにより、かみ合わせがずれたり片方のあごに過度な負担がかかったりすることで、首や肩の筋肉に緊張が生じ、肩こりを発生するリスクがあります。
また、虫歯がない場合でも、かみ合わせのずれがある場合にはそれが原因で肩こりが生じることがあります。
めまい・耳鳴り
虫歯が進行すると、上下の歯のかみ合わせがずれ、顎関節に負担がかかります。
この負担が内耳にまで影響すると、平衡感覚が乱れることから、めまいや耳鳴りが生じることがあります。
痛みを避けようと片側の歯だけでかむ癖があると、あごの動きがさらに偏り、これらの症状を感じやすくなります。
ダルさ
虫歯による慢性的な痛みや炎症は、慢性的なストレスとなり、倦怠感や疲労感をもたらします。
特に夜間は痛みを感じやすく、睡眠の質が低下することでさらなる倦怠感や疲労感につながるリスクもあります。
虫歯が原因で発熱した場合の対処法

虫歯が原因で発熱した場合、そのままでは虫歯の治療が難しいため、まずは解熱に努める必要があります。
その後、全身の状態が安定したら、早期に歯科医院で治療を受けるようにしましょう。
発熱まで引き起こす虫歯は深刻な状態に至っている可能性が高いため、根管治療が必要となることがほとんどです。
根管治療にはある程度の通院回数が必要になりますので、通院の負担をできるだけ軽減するためにも早めに受診するようにしましょう。
用法用量を守ったうえで市販の痛み止めを服用することも痛みや発熱を和らげることにつながります。
虫歯が原因で発熱した場合に気を付けたいこと

発熱時にアルコールを摂取すると血管が拡張し、発熱が悪化する可能性があります。
また、免疫機能も低下してしまうため、発熱時の飲酒は避けるようにしましょう。
加えて、入浴も避けるようにしてください。入浴することにより細菌と戦うための体力が奪われ、体調不良に拍車がかかってしまう恐れがあります。
どうしても身体を清潔にしたい場合には、手早くシャワーを浴びたり、温かいタオルや体拭き専用シートなどで体を拭いたりして入浴代わりにしましょう。
また、痛む歯がある場合、つい患部を指や舌で触りたくなってしまいますが、こういった行為は炎症を悪化させる恐れがあります。
気になる場合でも、できるだけ避けるようにしましょう。
まとめ
虫歯は、発熱などの全身症状を引き起こすことがあります。日常的な予防と治療によって、虫歯の重症化とそれによる体調不良を防ぎましょう。
また、虫歯になっている際に発熱した場合でも、その発熱の原因が虫歯ではない可能性もあります。
「虫歯が原因だ」と自己判断してしまうのは症状悪化につながりかねませんので、早めに医療機関を受診するようにしましょう。