セラミックの詰め物やかぶせ物が割れた?素材の特性と予防法を解説
2026/08/20
こんにちは、綾瀬の歯医者、新井歯科医院です。
セラミックは審美性の高さが魅力の素材ですが、割れたり欠けたりといったリスクに備えるためには、その特性を理解することが大切です。
今回は、セラミック補綴物の種類と素材の特性、割れや欠けのリスクを高める要因、長期間使い続けるための予防策などを解説します。
セラミック補綴物の種類と特性
オールセラミック(ポーセレン)
オールセラミックとは、金属を一切使用せずにセラミック素材のみで製作された補綴物の総称です。主に、ポーセレンで作られた素材を指しており、天然歯に近い透明感と色調を再現できます。しかし、セラミック素材の中では比較的脆く、臼歯部のような強い噛み合わせの力がかかる部位へは適さないことがあります。
ジルコニアセラミック
ジルコニアは、セラミック系素材の中でも特に高い強度を持つ素材です。オールセラミックに比べると不透明感が強く、周りの天然歯と比較するとツヤが足りなく感じられることがあります。
e.max
e.maxは、二ケイ酸リチウムガラスセラミックを主成分とする補綴物素材です。高い強度と優れた透明感・色調の豊かさを兼ね備えています。強度はジルコニアには及びませんが、前歯から第一小臼歯程度の部位であれば十分な強度を発揮します。
ハイブリッドセラミック
ハイブリッドセラミックは、コンポジットレジンにセラミック粒子を混合したブロックをCAD/CAMで切削加工した素材です。純粋なセラミックより柔軟性があり、割れにくいという特性があります。一方、時間が経つと変色・摩耗が起きやすいという欠点もあります。
セラミックの「割れやすさ」
金属は、外からの力が加わると、破断する前に変形することで力を吸収する素材です。
一方でセラミックは、変形しないまま破断する特性を持っています。
そのためセラミックは、強い力が加わると変形することなく突然割れてしまいます。
また、セラミックは押す力には比較的強いですが、引き離す方向の力には弱いという特性があります。
セラミック補綴物が割れる・欠ける主な原因
強い噛み合わせの力
セラミック補綴物が割れる原因の一つが、補綴物にかかる噛み合わせの力です。噛み合わせの状態が良好であれば複数の歯に力が分散されますが、噛み合わせのバランスが崩れて特定の部位に力が集中していると、その部分のセラミック補綴物に過度な負荷がかかり破損するリスクがあります。
歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)
歯ぎしりや食いしばりは、セラミック補綴物にとって割れるリスクが高い動作です。歯ぎしり・食いしばりがある方がセラミックの補綴物を使用する場合は、より強度の高いジルコニアを選んだり、ナイトガードを使用したりといった対策が大切になります。
咬合干渉
詰め物やかぶせ物を装着した後の噛み合わせ調整が不十分な場合、特定の箇所に力が集中する「咬合干渉」が生じます。咬合干渉があると、その部位に繰り返し過大な力がかかり、ヒビや割れのリスクが高くなります。
外傷・硬いものを噛む習慣
転倒・スポーツ中の衝突などの外傷によってセラミック補綴物が破損することがあります。また、氷を噛む、歯で殻を割る、つめやペンを噛むなどの硬いものを噛む習慣はセラミックに衝撃的な力を加えるため、破損リスクを高めます。
セラミック補綴物が割れた・欠けた場合の応急処置と受診のタイミング
セラミック補綴物が割れた・欠けた・外れた場合は、できるだけ早めに歯科医院を受診することが大切です。
補綴物が外れてしまった場合でも、接着剤などを使って自力で元に戻すのは避けましょう。
接着面が汚れることで細菌が侵入したり、かみ合わせがずれた状態で固定されてしまったりするリスクがあります。
欠けた破片が残っている場合は、修理や再製作の参考になる場合があるため、歯科医院に持参していただければと思います。
セラミック補綴物を長持ちさせるための予防策
ナイトガードの使用
歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方にとって、ナイトガードの使用はセラミックの補綴物を破損から守るための基本の予防方法です。就寝中にナイトガードを装着することで、歯ぎしりや食いしばりの力が補綴物にかかるのを防ぐことができます。
定期的な噛み合わせのチェックと調整
補綴物を装着した後も、定期的に噛み合わせのバランスを確認・調整してもらうことが重要です。歯周組織の変化・対合歯の磨耗・隣接歯の移動などによって、時間の経過とともに噛み合わせのバランスは変化します。定期検診のたびに噛み合わせのチェックを受けることで、特定の補綴物への力の集中を早期に発見・修正できます。
硬いものを噛む習慣の見直し
セラミックの補綴物を使用している方は、硬いものを噛む習慣に注意が必要です。硬い食べ物は細かく砕いてから食べる、前歯のセラミックでは硬いものを噛まないように意識するなど、日常の食習慣を意識的に見直すことが補綴物を長持ちさせることにつながります。
定期検診による早期発見
セラミック補綴物の微細なひびは、その微細さゆえに気づくのが難しい場合も少なくありません。定期的な歯科検診でセラミックの状態を確認してもらうことで、小さな欠けや亀裂の初期段階で発見し、大きな破損に至る前に対処するようにしましょう。
日々のオーラルケア
補綴物と歯の境目から二次虫歯が発生すると、補綴物を支える土台の歯質が崩壊し、補綴物全体の安定性が損なわれて破損や脱落につながります。毎日の丁寧なブラッシング・歯間清掃・定期的なクリーニングによって補綴物周囲を清潔に保つことが大切です。
まとめ
セラミック補綴物は優れた審美性と生体親和性を持つ一方で、金属のように変形せず、一気に破断するという特性を持っています。
セラミック補綴物を長持ちさせるために大切なのは、使用する部位と状況に適した素材を正しく選ぶこと、歯ぎしりや食いしばりがある場合にはナイトガードを使用すること、定期的に噛み合わせのチェックを受けること、硬いものを噛まないなど日常習慣を見直すこと、そして定期検診で補綴物の状態を継続的に確認することです。
破損が起きてしまった場合は、なるべく早く歯科医院を受診しましょう。
