矯正治療で歯の根が溶ける?歯根吸収のリスクと予防策を解説

      2025/12/20

綾瀬の歯医者、新井歯科医院で、矯正治療の歯根吸収リスクについての解説

こんにちは、綾瀬の歯医者、新井歯科医院です。

美しい歯並びを目指して矯正治療を考えている方の中には、「矯正をすると歯の根が溶ける」といった話を耳にして、不安になる方もいるかもしれません。
実際、矯正治療の過程で「歯根吸収」と呼ばれる現象が起こることはあります。

しかし、多くの場合はごく軽度であり、きちんと対応すれば大きな問題に発展することはありません。
今回は、歯根吸収が起こる原因や予防のポイントについて解説します。

 

歯根吸収とは

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歯根吸収とは、歯の根の部分が溶けたり短くなったりする現象のことです。
「歯根」は、普段見えている「歯冠」と呼ばれる部分を支えている、歯ぐきやあごの骨の中に埋まっている部分のことです。

通常、歯根は「セメント質」と呼ばれる組織に覆われて守られています。
しかし何らかの影響でこの保護が弱まると、「破骨細胞」と呼ばれる細胞が活性化して歯根を分解し、吸収が進んでしまうことがあります。
これが歯根吸収の基本的な仕組みです。
歯根吸収は、矯正治療中に見られることもありますが、重度になるケースは多くありません。

 

矯正治療で歯根吸収が起こる原因

強い矯正力

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矯正治療で歯根吸収が生じる大きな要因の一つは、強すぎる矯正力です。
過度な力が加わると歯根表面のセメント質が傷つき、破骨細胞が活発になって歯根が溶けやすくなります。
そのため、歯を動かす際には歯の状態や動かす方向に応じて力を細かく調整することが重要です。
無理のない力をかけることで、矯正治療中の歯根吸収のリスクを抑えることができます。

 

移動距離の長さ

歯を大きく動かす矯正治療では、歯根吸収のリスクが高まります。
特に、抜歯後のスペースに上顎前歯を大きく移動させる場合や、犬歯の後ろ方向への移動、大臼歯の前方向への移動など、比較的長い距離を動かすケースでは注意が必要です。

ただし、多くの場合は歯根吸収が起きても軽度にとどまり、治療後も歯の機能に問題を及ぼすことはほとんどありません。
実際には経過観察で対応でき、特別な処置を必要としないことが大半です。

 

矯正期間の長期化

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矯正治療が長期化すると、歯に力がかかる時間が延びるため、歯根吸収のリスクも高まります。
そのため、治療が長引く場合は定期的に検査を行い、必要に応じて治療計画を見直すことが重要です。
特に再治療では、過去の治療期間と合わせた負担が歯にかかるため、慎重な対応が求められます。
また、矯正治療期間が4年以上に及ぶ場合は、レントゲンによる経過観察がより欠かせなくなります。

 

患者さんの体質

歯根吸収は、遺伝や骨密度、歯や歯根の形態などの体質によっても起こりやすさが異なります。
そのため、同じ矯正治療を受けても人によってリスクの差があり、家族に歯根吸収の経験がある方がいる場合は、同様の傾向が出ることがあります。
また、歯根が細長い・先端が尖っているといった形態的な特徴や、セメント質の厚み・質の違いもリスクを左右する要因になります。

 

外傷などの影響

歯根吸収は、特に、転倒や打撲で強い衝撃を受けた歯や、神経を取った失活歯において注意が必要です。
外傷を受けた歯は、歯根周囲の組織に目に見えない損傷が残っていることがあり、矯正力が加わることでその問題が顕在化する場合があります。
また、根管治療を受けた歯は修復能力が健康な歯より低いため、吸収が進みやすい傾向があります。
そのため、このような歯がある場合は、治療前の詳細な診査と矯正治療中の慎重な経過観察が欠かせません。
必要に応じて矯正力を弱めたり、治療計画を見直したりする必要があります。

 

矯正治療による歯根吸収を予防する方法

日々のセルフケア

歯根吸収を防ぐためには、毎日の丁寧な歯磨きで歯や歯周組織を健康に保つことが大切です。
矯正装置を装着しているとワイヤーやブラケットの周囲に歯垢が残りやすいため、歯ブラシに加えて歯間ブラシやデンタルフロス、タフトブラシも使い分けて清潔さを保つようにしましょう。

 

定期的な歯科医院の受診

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歯根吸収は初期の段階では自覚症状がほとんどありません。
そのため、定期的に歯科医院で検診を受け、レントゲンなどによる画像診断で状態を確認することが重要です。
歯科医師によるチェックとクリーニングを組み合わせることで、リスクを早期に察知し、必要に応じて治療計画を調整することができます。

 

矯正装置の正しい使用

矯正装置は、歯科医師の指示に従って正しく使用することが、歯根吸収リスクを抑えるうえで重要です。
自己判断で装置を調整したり取り外したりすると、歯に不適切な力がかかり、歯根吸収が起こりやすくなります。
ワイヤー矯正の場合は、食事の際も、硬いものや粘着性の高いものは装置の破損や変形の原因となるため控えめにしましょう。
また、装置に変形や脱落などの異常を感じた場合は、すぐに歯科医院へ連絡しましょう。

 

歯ぎしり・食いしばり対策

歯ぎしりや食いしばりは、矯正中の歯に過剰な力をかけ、歯根吸収のリスクを高める要因となります。
対策としては、就寝時の矯正対応のマウスピースの装着が適しています。
装置の種類や装着方法は、歯科医師と相談して決めましょう。

 

違和感があれば歯科医院を受診

綾瀬の歯医者、新井歯科医院は、綾瀬駅徒歩5分

矯正中の歯根吸収は、患者さん自身が日常生活で気づくことはほとんどできません。
そのため、早期発見のためには、普段と異なる症状に注意を払うことが重要です。
例えば、矯正治療による鈍い痛みや違和感だけでなく、持続的で強い痛みがある場合は、歯根吸収の兆候の可能性があります。

また、予想以上に歯が早く動く、あるいは全く動かない場合も、歯根の状態に変化が起きているサインです。
さらに、矯正装置の脱離や変形も、歯に過剰な力がかかる原因となります。
異常を感じたときは、早めに歯科医院に相談することで、歯根吸収をはじめとした口内トラブルを予防しましょう。

 

まとめ

矯正治療では、歯を動かす過程で歯根吸収が起こることがあります。
しかし、原因やリスクを理解し、日々のケアや治療中の注意を行うことで、リスクは軽減できます。
毎日の歯磨きや生活習慣の改善で口内環境を整え、定期的に歯科医院で状態を確認することで、歯根吸収のリスクを軽減しましょう。

 



新井歯科医院:https://arai-dc.net/

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交通アクセス
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