更年期女性に多い口腔トラブルとホルモンバランスの関係を解説
2025/11/20
こんにちは、綾瀬の歯医者、新井歯科医院です。
更年期には、身体的・精神的なさまざまな変化が現れます。
ホルモンの急激な減少によりのぼせや発汗、イライラなどの症状が起こりやすくなるほか、女性ホルモンの減少が口内環境に影響し、虫歯や歯周病、ドライマウスなどのリスクも上昇します。
今回は、更年期女性に多い口腔トラブルとホルモンの関係について解説します。
更年期女性に多い口腔トラブル
虫歯
更年期には、唾液の分泌量が低下するため、これまで虫歯になりにくかった方でも新たに虫歯ができたり、すでにある虫歯が進行しやすくなったりします。
これは、唾液の分泌量が減ることで酸が長時間口腔内に残り、歯のエナメル質や歯根面が溶けやすくなるためです。
味覚の変化やストレスによる間食の増加も、虫歯リスクを高める要因です。
歯周病
歯周病は、更年期女性に多い口腔トラブルです。
女性ホルモンの減少により、歯ぐきの血流や組織の修復力が低下し、炎症に対する抵抗力が弱まるため、歯周病が発症・悪化しやすくなります。
特にすでに歯周病がある場合は、症状が急速に進行することがあります。
ドライマウス
ドライマウスは、更年期女性の約半数が経験するとされる症状です。
女性ホルモンの減少により唾液腺の機能が低下し、唾液分泌量が減少して口内が乾燥します。
症状としては、口の乾きやネバつき、食べ物の飲み込みにくさ、粘膜のヒリつき、味覚の変化、口臭の悪化などがあります。
また、唾液には抗菌作用や自浄作用があるため、分泌が減ると虫歯や歯周病のリスクが高まります。
口臭
更年期には、口臭が強くなることがあります。
これは、唾液の分泌量が減ることで口腔内の自浄作用が低下し、嫌気性細菌が増えて揮発性硫黄化合物が作られやすくなるためです。
また、歯周病が進行している場合は、歯周ポケット内の細菌がタンパク質を分解して悪臭物質を産生するため、口臭がさらに強くなります。
加えて、更年期特有のストレスや睡眠不足も、口内の乾燥や口内環境の悪化につながり、結果的に口臭を引き起こす要因となります。
口腔トラブルとホルモンバランスの関係
思春期
思春期は、女性ホルモンが急増する時期です。
その結果、血流が増えて歯ぐきが腫れやすくなり、「思春期性歯肉炎」が起こりやすくなります。
月経周期に応じて症状が悪化することもあります。
この時期の歯肉炎は、歯垢が少量でも強く炎症反応が現れ、歯ぐきの赤みや出血が生じやすいのが特徴です。
さらに、ホルモンの変化によって口腔内細菌叢が変化し、特定の細菌が増殖しやすくなることも、炎症を悪化させる要因となります。
妊娠中
妊娠中は女性ホルモンの変化により、妊娠性歯肉炎による歯ぐきの腫れや出血が起こりやすくなります。
さらに、つわりによりオーラルケアが難しくなることや食習慣の変化も、歯肉炎やそのほかの口腔トラブルを悪化させる要因です。
妊娠性エプーリスと呼ばれる歯ぐきの良性腫瘤が形成されることもあり、日々のオーラルケアが通常よりも重要になります。
更年期
更年期になると、エストロゲンの減少により歯ぐきのコラーゲン合成能力が低下します。
その結果、歯ぐきの弾力や修復力が衰え、退縮や歯根の露出が進みやすくなり、知覚過敏や歯の根元の虫歯のリスクが高まります。
また、歯槽骨の骨密度が低下することで、歯周病も進行しやすくなります。
さらに、唾液腺の機能低下によって唾液の分泌量が減少し、口腔内の自浄作用が弱まることも、虫歯や歯周病のリスクが高まる要因です。
更年期女性に多い口腔トラブルを防ぐための方法
定期的な歯科検診
更年期はホルモンの変化により口内環境が不安定になるため、定期的な歯科検診が欠かせません。
定期的に歯科検診を受けることで、虫歯や歯周病、唾液分泌量や口腔粘膜のトラブル、噛み合わせの変化などを早期発見することができます。
また、歯科医師や歯科衛生士によるクリーニングにより、セルフケアでは除去しきれない歯石や着色汚れを取り除き、口腔内を清潔に保つことができるのもメリットです。
受診頻度は個々の口内環境によって異なりますが、特にトラブルを感じていない場合でも、3、4か月に一度は検診を受けると口内の健康を維持しやすくなります。
食習慣の改善
更年期には、ホルモンバランスの変化により食の好みが変わることがあります。
その結果、甘いものを好んだり間食が増えたりすると、虫歯や歯周病のリスクが高まることがありますが、口内環境の維持のためには糖分の摂取量を減らすことが欠かせません。
また、骨の健康維持に欠かせないカルシウムやビタミンDの摂取は、歯槽骨の維持や歯周病の進行抑制に役立ちます。
抗酸化作用のあるビタミンCやEも、バランスよくとることで、歯ぐきの炎症を抑える作用が期待できます。
こまめな水分補給
更年期女性は唾液分泌が減少する傾向があるため、こまめな水分補給を心がけるようにしましょう。
1日の目安は体重1kgあたり30〜35mlですが、唾液不足を補うためにやや多めに摂るとよいでしょう。
スポーツドリンクや清涼飲料水は虫歯や酸蝕症のリスクがあり、カフェインやアルコールも利尿作用により脱水を促すため、水や無糖のお茶など、糖分を含まない飲料を選ぶようにしてください。
ストレス対策
更年期はホルモン変化により精神が不安定になりやすく、ストレスは唾液分泌の抑制や免疫機能の低下を通じて口内環境にも影響します。
適度な運動や十分な睡眠、深呼吸や瞑想などで、できるだけストレスをためないようにしましょう。
まとめ
更年期は、エストロゲンの減少に伴い口内環境が不安定になり、虫歯や歯周病、ドライマウス、口臭などのトラブルが起こりやすくなります。
これらのリスクを減らすには、定期的に歯科医院でチェックを受けること、食生活を見直して糖分や酸性食品の摂取を控えること、水分をこまめに摂って唾液の働きを補うことが大切です。
加えて、運動や十分な睡眠、リラックスタイムを取り入れてストレスを管理することが、口内を含めた全身の健康維持につながります。
できることから一つずつ取り組むことで、健康な口内環境を無理なく守っていきましょう。
